近年、動物愛護と環境保全の観点から注目を集めているヴィーガンファッション。
今回は非ヴィーガン素材のどのような点が問題視されているのかを動物愛護の観点から書いていきたいと思います。
ヴィーガンファッションについて
ヴィーガンファッションとは
ヴィーガンファッションとは、毛皮やレザーなど動物性の生地や素材を使用しないファッションのことです。主なヴィーガン素材には下記のようなものがあります。
・オーガニックコットン
・リネン(麻)
・リヨセル
・ヴィーガンレザー
ヴィーガンファッションはアニマルフリーなだけでなく、エシカル(環境に配慮したもの)やフェアトレードが含まれていることも多く、注目が集まっています。
非ヴィーガン素材の問題点
ウールやアルパカなど
ニット製品にはお馴染みのウールやアルパカ、アンゴラ、カシミヤ。
幼い頃から当たり前のように身に纏っていた動物由来のニット製品も実は動物や環境に悪影響を与えています。ウールは羊の毛を刈って作られるので命を奪ってはいません。では何が問題視されているのでしょうか。
問題とされているのは衣服の大量生産に伴い動物が道具として扱われ、飼育や毛刈りの工程で虐待が発生していることです。
2020年5月に世界最大の動物愛護団体「PETA」はペルーのアルパカ農場での虐待動画を配信しました。その映像には毛刈りの際に乱暴に扱われ叫び、嘔吐するアルパカの姿が映っています。このことを皮切りにユニクロ、ヴァレンティノなどの有名ブランドがアルパカの使用を廃止しています。
過去に遡りますが2018年にも同じくPETAによって南アフリカのヤギ飼育農家12軒で動物が虐待されている疑いがあるとの報告書が出されています。
私たち消費者の見えないところで動物たちが犠牲になっている現状。そして私たちの洋服のために生み出される動物たちが環境に与える影響も問題視されているのです。
気候変動の原因と言われる温室効果ガス。その中でも二酸化炭素に次いで2番目に排出量が多いのがメタンガスです。メタンガスは羊などの反芻動物のゲップやオナラから排出されています。このメタンガスは二酸化炭素の約28倍もの温室効果をもたらすと言われています。
畜産大国であるニュージーランドでは農家に対してげっぷの排出量分の「げっぷ税」の導入が検討されているほど深刻に捉えられています。
:New Zealand to price sheep and cow burps to cut greenhouse gases
シルク
言わずと知れた高級素材シルク。シルクは蚕(かいこ)が作った繭から糸を引いて作られますが、その工程が非人道的だと問題視されています。
蚕は人間の手によって遺伝子組み換えされ歩くことも飛ぶこともできない、シルクを作るための道具となってしまいました。蚕は「野生回帰能力を完全に失った唯一の家畜化動物」と言われています。
人間の手が加わったことにより蚕は脚の力が弱く上手く歩けません。これは蚕が逃げられないようにするための改良です。そしてさなぎから成虫にかえったとしても羽が小さく筋力もないため羽ばたくことはできないのです。
更に遺伝子組み換えによって口のない成虫は500個ほどの卵を産んだ後にわずか10日ほどで寿命が尽きてしまいます。
蚕の産んだ幼虫はどうでしょうか。
幼虫は丸2日間眠ることなく絹糸を出し続け、繭を作ります。
そして絹糸を搾取するために、成虫になる前の繭を、生きた幼虫ごと熱湯に入れて湯掻きます。その最中に中の幼虫は当然死んでしまいます。
着物を1枚作るのために、2700以上もの蚕が犠牲になっています。人間のために道具として生み出され数日で命を奪われてしまう。年間の繭生産量は令和4年で年間51トンです。(この数字は年々減少傾向にあります。※参考URL参照)
こうした問題を受け、2022年にはユーカリ繊維のヴィーガンシルクを使用したウェアが世界で初めて発売され世界中に広がっています。ヴィーガン素材を選ぶことで動物の倫理を守ることができます。
参考:https://www.maff.go.jp/j/seisan/tokusan/attach/pdf/sannshi-5.pdf
ヴィーガンシルクを取り入れているブランド Tani Japan
世界で初めてユーカリの樹皮を原料としたヴィーガンシルクのウェアを発表したブランド、tani。再生可能な木材を原料としているほか、製造過程で使用する水と化学薬品を99%以上再利用している環境や動物に配慮したブランドです。
レザー
レザーは動物の皮なので分かりやすく非ヴィーガンの素材です。
牛、羊、鹿、山羊など様々なレザーがあります。
しかしこのレザー、本革=エコという考え方もあり物議を醸しています。
というのも、日本では皮を取るために動物を殺すことは禁止されており、流通している皮製品は食肉用に飼育された家畜の副産物なのです。
人間がお肉を食べたり牛乳を飲んだりする限り残った皮は廃棄されます。その廃棄物である皮をリサイクルし、革として生まれ変わらせる。
処分するためにかかる環境への負荷も考えると確かにエコだったりサスティナブルに繋がりますね。
しかし食肉用として人工授精で妊娠させられ家畜として一生を終える動物のことを考えると複雑な気持ちになるのも事実です。
レザーという点からは逸れてしまいますが、下記他サイト様にて「肉用に飼育される牛の一生」という記事がありました。よかったらご覧ください。
ヴィーガンファッションを取り入れてみよう
急にヴィーガンになるだとか、洋服を全てヴィーガンファッションにするというのは難しいことだと思います。「ヴィーガン」という言葉が先行して広まっていますが中身を理解して初めて自分の選択を変えようと意思を持てるものだと、筆者は思っています。
「環境のために、動物のために、1着だけでもヴィーガンファッションにしてみるか。」
そんな1つの選択肢をこの記事から生み出せたら幸いです。



